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現地レポ

大神神社と狭井神社を歩いてきました — 本殿がない神社と、薬井戸の御神水

2026-07-26 | 執筆・編集:福跡マップ編集部

奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)へ行ってきました。前から一度は訪れてみたかった神社です。

当日は雲ひとつない晴天。車で向かう途中、車窓から「卑弥呼の里」と書かれた看板が見えました。運転中だったので写真は撮れていません。それでも、これから向かう土地がどういう場所なのか、なんとなく伝わってきます。

桜井市には纒向(まきむく)遺跡があります。奈良県の公式サイトは、この遺跡を「日本列島最初の『都市』、あるいは『魏志倭人伝』の邪馬台国の最有力候補地、とする考えも存在します」と紹介しています。断定はされていません。それでも看板が立つくらいには、この土地と邪馬台国は結びつけて語られてきたということなのでしょう。

大鳥居が見えてくる

大神神社の大鳥居。高さ32.2メートル、柱間23メートル
大神神社の大鳥居。高さ32.2メートル、柱間23メートル

しばらく走ると、正面に鳥居が現れました。

大きい。大きい、という言葉では足りない大きさです。

公式サイトによると、この大鳥居は高さ32.2メートル、柱間23メートル。昭和天皇のご親拝を記念して建てられ、昭和61年(1986年)5月28日に竣功しました。材質は耐候性鋼板で、耐久年数は1300年といわれるそうです。1300年。建物の説明で見る数字とは思えません。

桜井市観光協会は、この鳥居を「車道をまたぐ鳥居としては日本最大」と紹介しています。同協会によれば、鳥居全体としても、和歌山県・熊野本宮大社の旧社地である大斎原(おおゆのはら)の大鳥居(33.9メートル)に次ぐ高さだそうです。

門前の食事処。風鈴の音が聞こえてきた
門前の食事処。風鈴の音が聞こえてきた

車を降りて歩き出すと、食事処が並び、風鈴の音が聞こえてきました。真夏の音です。いいお出迎えでした。

三輪駅と、三輪そうめん

JR桜井線(万葉まほろば線)の三輪駅
JR桜井線(万葉まほろば線)の三輪駅

駐車場は複数あって、車でも困りません。電車なら、公式サイトによればJR桜井線(万葉まほろば線)の三輪駅から徒歩5分。小さな駅が、参道のすぐそばにあります。

参道沿いに並ぶ三輪そうめんの店
参道沿いに並ぶ三輪そうめんの店

参道までの道沿いには店が並んでいて、名物の三輪そうめんの看板がよく目につきます。

二の鳥居をくぐる

二の鳥居。扁額には「三輪明神」とある
二の鳥居。扁額には「三輪明神」とある

二の鳥居をくぐると、空気が変わりました。日差しが木々に遮られて、砂利の参道が奥へ続いています。

拝殿へ向かう石段
拝殿へ向かう石段

石段を上がっていくと、風が抜けていきます。夏の盛りなのに、涼しい。

「縁結び 夫婦円満 祈願絵馬 掛け所」の案内
「縁結び 夫婦円満 祈願絵馬 掛け所」の案内

途中には「縁結び 夫婦円満 祈願絵馬 掛け所」の案内がありました。

注連縄が張られたご神木の杉
注連縄が張られたご神木の杉

ご神木の杉も見事です。太い幹に注連縄が張られていて、見上げると首が痛くなる高さまで伸びていました。

拝殿の前にあった「いのりのことば」

拝殿前に掲げられた鎮魂詞の掲示
拝殿前に掲げられた鎮魂詞の掲示

参拝しようと近づいたら、こんな掲示が目に入りました。

鎮魂詞(いのりのことば)
幸魂(さきみたま) 奇魂(くしみたま)
守給へ(まもりたまへ) 幸給へ(さきはへたまへ)
三輪の神様には ご祈念のあと 右のいのりの詞を 三回お唱え下さい

「鎮魂詞」と書いて「いのりのことば」と読ませています。祈ったあとに、この言葉を三度唱える。

唱える順番が気になったので、あとで巫女さんに尋ねてみました。一般的な二礼二拍手一礼を済ませてから三回唱える形でも構わないそうです。声に出しても、心の中で唱えても、どちらでもよいとのことでした。

あとで公式サイトを見返してみましたが、この掲示の言葉は載っていませんでした。サイトに書かれているのは、ご祈祷(昇殿参拝)のときに神職が祝詞の中で三度唱えるので、参拝者も一緒に唱えてください、という案内です。

本殿がない神社

拝殿の背後にそびえる三輪山。この山そのものがご神体とされる
拝殿の背後にそびえる三輪山。この山そのものがご神体とされる

大神神社には、本殿がありません。

公式サイトはこう説明しています。ご祭神の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)がお山に鎮まるため、古来本殿は設けず、拝殿の奥にある三ツ鳥居を通して三輪山を拝する。神社の社殿が成立する以前の、原初の神祀りの姿を今に伝えている——その祭祀の姿ゆえに「我が国最古の神社」と呼ばれています、と。

拝む対象が、建物の中ではなく、背後の山そのものだということです。三輪山は標高467メートル、周囲16キロメートル、面積350ヘクタール。公式サイトによれば、一木一草に至るまで神が宿るものとして尊ばれてきました。

拝殿の奥は禁足地で、普段は神職さえ足を踏み入れません。禁足地と拝殿のあいだには、結界として三ツ鳥居と瑞垣が設けられています。公式サイトには「三輪山を本殿とすれば、三ツ鳥居は本殿の御扉の役割を果たしている」とあります。ちなみに今の拝殿は寛文4年(1664年)に徳川家綱によって再建されたもので、三ツ鳥居とともに国の重要文化財です。

神様を建物に納めるのではなく、山にいらっしゃるものとして拝む。拝殿の前に立つと、視線が自然と背後の山のほうへ向かいます。

御朱印帳の、一ページ目

授与所に並ぶお守り
授与所に並ぶお守り

参拝を終えて、授与所へ。

前から始めようと思っていたことがあります。御朱印帳を、ここで求めました。これから各地の神社を巡って、御朱印でご縁を結んでいけたらと思っています。

御朱印を書いていただいているところ
御朱印を書いていただいているところ

お願いすると、「最初の一ページ目に記入でよろしいですか」と聞かれました。

なぜ確認されるのだろうと思って理由を尋ねると、こう教えてくれました。一ページ目はお伊勢さんのために空けておきたい、という方が結構いらっしゃるんですよ、と。

なるほど、と思いつつ、私は一ページ目にお願いしました。この御朱印帳はここで求めたものですし、最初のご縁をいただいたのもここです。それなら筋として、一ページ目は大神神社だろうと思ったからです。

「大和國一之宮 大神神社」。令和八年七月二十四日の日付が入っている
「大和國一之宮 大神神社」。令和八年七月二十四日の日付が入っている
いただいた御朱印帳と昇運守、そして三輪明神縁起
いただいた御朱印帳と昇運守、そして三輪明神縁起

狭井神社へ — 「くすり道」を歩く

「身体健康・病気平癒の神様」と記された狭井神社への道標
「身体健康・病気平癒の神様」と記された狭井神社への道標

もうひとつの目的が、狭井神社(さいじんじゃ)でした。拝殿から左手へ下っていくと、5分ほどで着きます。

狭井神社は大神神社の摂社です。摂社とは、その神社と特に深いつながりのある神様を祀った、境内のお社のこと。公式サイトによれば、狭井神社に祀られているのは三輪の神様の「荒魂(あらみたま)」です。

同じ神様に、和魂(にぎみたま)と荒魂という二つの側面があるという考え方があります。穏やかな働きが和魂、活発で力強い働きが荒魂。公式サイトは狭井神社について「力強いご神威から病気平癒の神様として信仰が篤い」と記しています。

実は、家族が最近病気になりました。快復を願って、ここまで足を運んだというのが正直なところです。

「くすり道」。両脇に薬木・薬草が植えられている
「くすり道」。両脇に薬木・薬草が植えられている

大神神社から狭井神社へ続く参道は「くすり道」と呼ばれています。公式サイトによれば、薬業関係者が奉納した薬木・薬草が植えられているそうです。木陰の階段を上がっていくと、空気が澄んでいるように感じました。

その日、三輪山には登れませんでした

「七月二十一日〜当分の間、三輪山登拝を中止」の掲示
「七月二十一日〜当分の間、三輪山登拝を中止」の掲示

狭井神社へ向かう道ばたに、こんな掲示が出ていました。

七月二十一日(火)〜当分の間 三輪山登拝を中止と致します

三輪山は、ご神体でありながら、狭井神社で受付をすれば登拝が許されている山です。公式サイトも「特別に登拝が許可されている」と案内しています。それを目当てに来る方も多いと思いますが、この日は登れませんでした。

境内をさらに進むと、もう少し詳しいお知らせが立っていました。

「猛暑の為、当分の間 三輪山登拝の受付を中止」と記されたお知らせ
「猛暑の為、当分の間 三輪山登拝の受付を中止」と記されたお知らせ

猛暑の為 皆様の安全と健康を第一に 当分の間 三輪山登拝の受付を中止と致します
何卒ご理解のほどお願い申し上げます
※登拝受付再開に付きましては公式HP・インスタグラム・Xをご確認下さい

大神神社社務所 狭井神社社務所

理由は猛暑でした。たしかにこの日は、朝から日差しが強く、木陰から出るのがためらわれるほどの暑さです。あの山をひとつ登って下りてくることを考えれば、受付を止めるという判断になるのも分かる気がします。

再開の案内は公式サイトのほかInstagramとXでも出す、と書かれています。登拝を考えている方は、出発前にそちらを確認してから向かうのがよさそうです。

薬井戸の御神水

狭井神社の拝殿
狭井神社の拝殿

狭井神社には本殿があります。拝殿の左奥へ進んでいくと——

「御神水 薬井戸」の掲示
「御神水 薬井戸」の掲示

薬井戸がありました。掲示にはこう書かれています。

神体山 三輪山から湧き出た御神水をお飲み頂けます
少量であれば容器へ汲みお持ち帰り頂けます

薬井戸
薬井戸

この水は古くから「くすり水」と呼ばれ、公式サイトの言葉を借りれば「万病に効くという薬水」として伝えられてきました。神社が「効きます」と言い切っているわけではなく、そう伝わってきた水、という書き方です。

持ち帰りは、掲示にあるとおり「少量であれば」が条件になります。公式サイトは、水源確保の観点から、容器による大量の拝戴と夜間(18時〜翌6時)の拝戴を中止していると告知しています。

少しだけいただいて、狭井神社を後にしました。

帰りにラムネを

参道の脇でラムネを売っていた
参道の脇でラムネを売っていた

帰り道、参道の脇でラムネを売っているのを見つけました。氷水で冷えた、ビー玉入りの瓶。

冷えたラムネ
冷えたラムネ

真夏日の締めくくりとしては、これ以上ないものでした。

おわりに

大神神社も狭井神社も、とにかく空気が違いました。木が深いからなのか、山が近いからなのか、理由はうまく説明できません。ただ、石段を上がりきったときの涼しさは、しばらく忘れられそうにありません。

家族の快復を願っての参拝でした。願いがどうなるかは分かりません。それでも、山に向かって手を合わせて、水を少しいただいて帰る。その一連が、なんだか自然なことに思えた一日でした。

身近な人の幸せを願いたいときに、ふと足を運んでみるのもいいかもしれません。

参拝の基本的な流れは参拝の基本作法にまとめています。大神神社の場所と出典の一覧は大神神社のスポットページからどうぞ。

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参考・出典

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