参拝の作法とマナー
厄年の「厄」は、もとは「役」だった — 神社本庁が書いている話
厄年は、もともと悪い年ではありませんでした。
神社本庁の公式サイトはこう説明しています。本来、厄年は長寿を祝う還暦や古稀などの年祝いと同じく「晴れの年齢」と考えられていた、と。
そして厄年の「厄」は、神さまにお仕えする神役の「役」に由来するとされている——とも書かれています。
厄年を迎えるとは、役目を負うこと
なぜ「役」なのか。神社本庁の説明をたどると筋が通ります。
厄年を迎えることは、地域社会において一定の地位になることを意味していました。氏子のなかで神社の祭祀・運営を担う集団を宮座(みやざ)といいますが、そこへ加入したり、神輿を担いだりと、神事に多く関わるようになる年齢だったのです。
神さまに近いところで働く。だからこそ、心身を清浄に保ち、言動を慎む必要がありました。これを物忌(ものいみ)といいます。神社本庁は、心身を清浄に保ち禁忌を侵さないよう慎むこと、と説明しています。
つまり順番はこうです。まず役目が回ってくる。役目のために身を慎まねばならない。その「慎むべき年」が、後に「災いの多い年」として受け取られるようになった。
厄年に神社へ行くのは、災いを避けるためというより、もともとは役目に就くための準備だったわけです。
年齢の整理
とはいえ現代では、厄年は転機の年として意識されています。神社本庁も、人の一生のなかで体力的・家庭環境的・対社会的に転機を迎える時期であり、災厄が起こりやすいとされている、と記しています。
年齢は数え年で、神社本庁の記載は次のとおりです。
| 厄年(数え年) | |
|---|---|
| 男性 | 25歳、42歳(大厄)、61歳 |
| 女性 | 19歳、33歳(大厄)、37歳 |
前厄・後厄は、本厄の前後1年ずつを指します。
数え年は、生まれた年を1歳とし、正月を迎えるごとに1つ加える数え方です。満年齢とは1〜2歳ずれるので、そこだけ注意が必要です。
男性の42歳と女性の33歳が大厄とされるのは、語呂の説(四十二=死に、三十三=散々)がよく知られています。ただ、この語呂合わせが起源なのか後付けなのかは、私が確認した神社本庁の説明の範囲では触れられていませんでした。
「晴れの年齢」だったという意味
還暦や古稀と同じ扱いだった、という一文を、もう少し噛み砕いておきます。
還暦は六十年で干支が一巡し、生まれた年の干支に還る節目です。古稀は七十歳。どちらも「よくここまで来た」と祝う年齢で、赤い頭巾やちゃんちゃんこのように、祝いの形が決まっています。
厄年がそれと同じ列に置かれていた、というのは、少なくとも当初は「めでたくない年」ではなかったということです。年齢が上がることで共同体のなかでの位置が変わり、任される仕事が増える。だから節目として印がついた。
いま私たちが厄年に感じている重さは、この「印」の意味が反転した結果ということになります。祝いと慎みは、もともと同じところから出ていたわけです。
厄祓いは「いつまで」がない
実務的なことも書いておきます。
厄祓いの時期について、神社本庁は新年に年齢が変わる際に行うのが一般的としつつ、いつまでに行う必要があるといった決まりがあるわけではないと明記しています。可能なら早いほうがよい、という程度です。
「節分までに行かないと意味がない」という話を聞くことがありますが、少なくとも神社本庁はそう書いていません。年明けに行けなかったからもう手遅れ、ということはない、と読めます。
祈祷を受ける際の作法は、通常の参拝と大きく変わりません。基本の流れは参拝の基本作法にまとめています。
気に病むためのものではない
厄年の話は、放っておくと不安を煽る方向に転びます。「今年は厄年だから何かあるかも」と身構えるほど、日常の小さな不運が厄年のせいに見えてくる。
ですが神社本庁の説明を素直に読むと、厄年はもともと「あなたに役目が回ってきた年」でした。身を慎むのは、災いが降ってくるからではなく、担う仕事があるからです。
25歳、42歳、61歳。19歳、33歳、37歳。並べてみると、確かにどれも生活が変わりやすい年齢です。仕事の責任が変わる、家族の形が変わる、体の調子が変わる。昔の人が「ここは慎重に」と印をつけた場所に、いまの私たちも立っている。
そう考えると、厄祓いに行く意味も少し変わってきます。悪いものを落としに行くというより、区切りに手を合わせに行く。
厄除けの信仰で知られる社
大阪にも、厄除けの信仰で知られる社がいくつもあります。
大坂城の鬼門を守る位置に鎮座するとされる片埜神社、方位の災いを除ける信仰で知られる方違神社、無傷無病の信仰で知られるサムハラ神社。
いずれも、効果を保証するものではありません。長く人が手を合わせてきた場所だ、というのが正確なところです。それでも、区切りの年に立ち寄る先としては十分だと思います。
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参考・出典
- 厄祓い(男性・女性の厄年、本厄等) | おまいりする | 神社本庁公式サイト
jinjahoncho.or.jp