神社の教養
神社と神宮の違いは? 「神宮」とだけ書けば伊勢、「大社」はもとは出雲だけ — 社号の読み方
神宮・宮・大社・神社・社は社号という称号で、神社本庁の説明では「神宮」とだけ書けば伊勢の神宮の正式名称です。神宮の社号は皇室と特にゆかりの深い神社に限られ、「大社」はもとは出雲大社だけの社号でした。社号の「大社」と、戦前の社格「官幣大社」は別のものです。
「神宮」「宮」「大社」「神社」「社」は、神社の名前に付く称号で、「社号」といいます。 神社本庁の公式サイトはそう説明したうえで、「神宮」とだけ書けば伊勢神宮を示す正式名称だ、と書いています。
神社と神宮の違いは、祀り方や参り方の違いではありません。名前に付く称号の違いで、その称号には由来があります。出典は神社本庁、神宮の公式サイト、コトバンク収録の各辞典、各社の公式サイトに限りました(2026年10月5日確認)。
社号とは、名前に付く称号のこと
神社本庁の「神宮・神社の名称」のページは、こう始まります。
「神宮」や「宮」、「大社」、「神社」などの名称は、神社名に付される称号で、「社号」といいます。
デジタル大辞泉も「社号」を「神社の称号。大神宮・神宮・宮・神社・社などがある」と説明しています。つまり「○○神宮」と「○○神社」の違いは、「○○」の後ろに付いた称号の違いです。
「神宮」とだけ書けば、伊勢
神社本庁の同じページには、こうあります。
「神宮」といえば、伊勢神宮を示す正式名称ですが、現在「神宮」の社号を付されている神社は、天皇や皇室の祖先をお祀りするなど、皇室と特にゆかりの深い神社に限られています
神宮の公式サイトも「伊勢の神宮、正式には「神宮」」と書き、「「お伊勢さん」「大神宮さん」と親しく呼ばれる伊勢神宮は、正式には「神宮」といいます」と続けます。神社本庁の別のページでは「正式には「神宮」とのみ申し上げ」、125のお社の総称だと説明しています。
日本大百科全書は、もう一歩踏み込んで「正式に神宮とされるのは伊勢だけで、ほかはすべて神社とされる」と書いています。

神宮の社号を持つ社は、皇室とのゆかりで決まる
神社本庁が例として挙げるのは、平安神宮・明治神宮・霧島神宮・鹿児島神宮・石上神宮・鹿島神宮・香取神宮です。関西の例を公式サイトで確かめると、次のようになります。
- 平安神宮(京都): 明治28年3月15日、桓武天皇を御祭神として「官幣大社 平安神宮」が創建された、と公式の歴史にあります。
- 橿原神宮(奈良): 明治23年、「同年3月、社号を橿原神宮とし、官幣大社に列せられる」と公式に書かれています。
- 熱田神宮(愛知・参考): 「明治元年 神宮号を賜り、熱田神社から熱田神宮となる」。神宮号は「賜る」ものだった、ということが読めます。
福跡マップでは伊勢神宮 内宮と橿原神宮をスポットにしています。
「宮」は、天皇・皇族と、古くからの呼び名
神社本庁の説明では、「宮」は天皇や皇族をお祀りしている神社や、由緒により古くから呼称として用いられている神社に使われます。天満宮や八幡宮が「宮」です。
関西の例として、石清水八幡宮の公式は、明治の初めに官幣大社に列せられて「男山八幡宮」と改称し、「大正7年には再び「石清水八幡宮」と改称」したと書いています。北野天満宮の公式は「全国約一万二千社の天満宮、天神社の総本社」。大阪では大阪天満宮が「宮」です。
「大社」は、もとは出雲だけだった
神社本庁は、「大社」はもとは「出雲大社を示す社号として用いられてきました」と書き、そのうえで「現在「大社」は、広く崇敬を集める神社でも使われています」と続けます。デジタル大辞泉は「社号としては出雲大社のみに許された」、マイペディアは「大社は出雲大社に限られた。戦後は大社号もいくつか使用されるようになった」としています。
戦後とは、昭和21年(1946)です。デジタル大辞泉は春日大社について「昭和21年(1946)春日神社を改称」と書きます。住吉大社については辞典で書き方が分かれていて、日本国語大辞典は「住吉神社を現社名に改称」、日本大百科全書は「住吉大社という古称に復した」としています。新しく名乗ったのか、古い呼び名に戻したのか。二つの辞典が並べて置いている以上、この記事もどちらかに決めません。
伏見稲荷大社の公式は「昭和21年(1946)「官幣大社稲荷神社」を「宗教法人伏見稲荷大社」に改め」と書いています。

社号の「大社」と、社格の「官幣大社」は別のもの
ここが一番ややこしいところです。上の引用に「官幣大社」という言葉が何度も出てきますが、これは社号ではなく、戦前の社格(神社の格付け)です。
世界大百科事典は「明治時代,社号が整理されたとき神宮号,宮号はともに神社号より社格が一段上とみなされた」と書いています。社号と社格は近い関係にありましたが、同じものではありません。
分かりやすい例が大神神社です。公式の由緒には「明治時代にはその由緒によって官幣大社となりました」とありますが、社号は今も「神社」のままです。官幣大社だった社が、必ず「大社」を名乗るわけではありません。逆に住吉大社の公式は「昭和21年までは官幣大社」と書き、社格の欄に「延喜式名神大社」「摂津国一之宮」と並べています。社格・式内社の区分・一之宮は、それぞれ別の物差しです。
関西の社号を、公式の表記で並べる
| 社号 | 社 | 公式に書かれていること |
|---|---|---|
| 神宮 | 神宮(伊勢) | 正式名称は「神宮」。125のお社の総称 |
| 神宮 | 平安神宮 | 明治28年創建、桓武天皇を祀る |
| 神宮 | 橿原神宮 | 明治23年に社号を橿原神宮とし官幣大社に |
| 宮 | 石清水八幡宮 | 明治に男山八幡宮と改称、大正7年に再び石清水八幡宮 |
| 宮 | 北野天満宮 | 天満宮・天神社の総本社 |
| 大社 | 住吉大社 | 昭和21年までは官幣大社。摂津国一之宮 |
| 大社 | 伏見稲荷大社 | 昭和21年に官幣大社稲荷神社から改めた |
| 大社 | 春日大社 | 昭和21年に春日神社を改称(辞典) |
| 神社 | 大神神社 | 明治に官幣大社となったが社号は神社 |
社号から読めること、読めないこと
社号から読めるのは、その社が皇室とどうゆかりを結んできたか、いつ名乗りが変わったか、という歴史です。読めないのは、ご利益の大小や、参り方の違いです。神社本庁の説明にも、社号によって作法が変わるという記述はありません。
「神宮」の二文字を見たら伊勢を思い浮かべ、「大社」の二文字を見たら昭和21年を思い出す。それだけで、神社の名前の読み方が少し変わると良いですね。社号に類するものとして神社本庁が挙げる「大神」「大明神」「権現」は、また別の話です。
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伊勢神宮 内宮の周りには、伊勢市の福が5件あります。
伊勢市の福 5件をひらく →参考・出典
16件出典に基づいて掲載しています
訂正履歴
公開後に内容を改めた箇所を、日付とともに記録しています。
- :熱田神宮の年表と北野天満宮の公式サイトを出典に加えました(本文の引用の出どころ)。
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