現地レポ
全興寺で地獄と極楽を巡ってきました — 「のぞみはないが ひかりはある」
杭全神社を出たあと、向かったのは全興寺(せんこうじ)です。車で5分ほど。歩いても十分いける距離にあります。
高野山真言宗のお寺で、公式サイトによれば、聖徳太子が平野の野中の地に小さなお堂を建てて薬師如来の像を安置したのが始まりと伝わります。およそ1400年前——「平野郷」という町が生まれるよりも、ずっと前からこの地にあったと伝わるお寺です。

これまた、街なかに存在します。「こんな細道を進んでいく先にあるの?」と思えるくらいの場所です。
お寺の横に、平野郷の歴史案内


まず目についたのが、お寺の横にある平野郷の歴史案内です。さっき歩いてきた環濠の町の全体像を、絵図で一目で追うことができます。神社とお寺を続けて回るなら、先にこれを見ておくと歩き方が変わるはずです。
「のぞみはないが ひかりはある」
さて、全興寺に入っていきます。事前知識はあまり入れずに来たのですが、ひとつだけ聞いていたのは「テーマパークみたいだよ」ということ。
最初に目に飛び込んできたのが、この掲示でした。

のぞみはないが ひかりはある
人生で希望(のぞみ)を失うような状況にあっても、照らしてくれる光は常にある——私はそう受け取りました。よい言葉です。どんな状況であっても、「ひかり」はある。

これも特徴的な絵です。何だか普通とは違う雰囲気を感じます。この絵は何だろう……(意味を聞きそびれてしまいました)。
地獄堂へ — 通行手形は百円


境内に入ると、目に入ったのが「地獄」の文字。
なんだこれは……なんか凄いぞ、これは……。
どう巡ったらよいか分からないので、受付の方に話を聞いてみることにしました。すると、ここは「地獄と極楽を巡る」お寺で、通行手形を求めれば最初から順に回れるとのこと。

その名も「地獄通行手形」。おひとり百円(5歳以下無料)です。
地獄堂の入口でこの手形のQRコードを読ませて扉の前に立つと、扉が開く仕掛けになっています。

扉の前には、Q&Aを選んでいく「極楽度・地獄度チェック」の看板もあります。人間にとって大切なことは何かを分からせるための問いかけ。こういう遊び心が随所にあります。
閻魔さまの前で


入ると、恐ろしい形相の閻魔大王と鬼が待っています。これは怖い。子どもは泣いてしまうのではないでしょうか。

そして映像が流れます。悪いことをすると地獄に行くぞ——子どもたちへの教育も兼ねているわけです。
地獄から、ほとけのくにへ
閻魔さまを後にすると、ここからは極楽を巡ります。





途中には「賽の河原」があり、石を積むことができます。私もやってみました。


コースの全体はこんな感じです。本堂のご本尊へのごあいさつから始まり、地獄堂、地獄の釜の音が聴こえる石、賽の河原の石積み、仏さまと赤い糸で縁結び、ほとけのくにでの瞑想——と続きます。
現地では「一部有料の場所があるのかな」と確認しそびれてしまったのですが、帰ってから写真を見返すと、コース図の中に「プチ写経・写仏(寺務所にて受付・各500円)」とありました。基本のコースは通行手形だけで巡れて、写経・写仏をしたい場合は別途、という形のようです。
地獄ミクジィで「凶」

最後に「みやげ」のある場所で、面白いおみくじを見つけたので引いてみました。

その名も「エンマ大王の地獄ミクジィ」。別途100円です。

受付の方いわく、凶から下しか入っていないのだそう。私が引いたのは「凶」——つまり、この中ではいちばん軽い。受付の方から「中途半端ですね(笑)」と、見事に大阪らしいツッコミをもらいました。
ちなみにおみくじの中身は、自己中心的な考えに陥っていませんか、と省みる言葉。地獄で引くおみくじが、ちゃんと説法になっています。

このほかにも、子ども向けのおみくじなどが並び、昭和20〜30年代の駄菓子屋を再現したという「小さな駄菓子屋さん博物館」もあります。
本堂に手を合わせて

地獄めぐりから始まり、非常にバラエティ豊かなお寺です。「大阪のおもろい寺」「寺のディズニーランド」と紹介されることもあるようですが、行ってみると、その言葉どおりの場所でした。
でも歩き終えてみると、これは「悪いことをしてはいけないよ」という、子どもたちへの教えの形なのだと思います。地獄の怖さも、賽の河原の石積みも、閻魔さまのおみくじの説法も、ぜんぶ同じ方向を向いている。面白いだけではなく、大切なことも教えてくれるお寺でした。
夕方にはもう一社、前から行ってみたかった神社に寄りました。その話は次の記事で書きます。
参考・出典
- 全興寺-せんこうじ-大阪平野の地獄堂があるお寺
senkouji.net - 全興寺 - Wikipedia
ja.wikipedia.org - 大阪市平野区:平野コース(約4.8キロメートル) (平野区の紹介>区の歴史・魅力)
city.osaka.lg.jp