← 福跡マップ(地図)へ
現地レポ

全興寺で地獄と極楽を巡ってきました — 「のぞみはないが ひかりはある」

2026-07-28 | 執筆・編集:福跡マップ編集部

杭全神社を出たあと、向かったのは全興寺(せんこうじ)です。車で5分ほど。歩いても十分いける距離にあります。

高野山真言宗のお寺で、公式サイトによれば、聖徳太子が平野の野中の地に小さなお堂を建てて薬師如来の像を安置したのが始まりと伝わります。およそ1400年前——「平野郷」という町が生まれるよりも、ずっと前からこの地にあったと伝わるお寺です。

お寺へ続く細い通り
お寺へ続く細い通り

これまた、街なかに存在します。「こんな細道を進んでいく先にあるの?」と思えるくらいの場所です。

お寺の横に、平野郷の歴史案内

お寺の横に掲げられた平野郷の案内
お寺の横に掲げられた平野郷の案内
古い絵図で平野郷の姿がわかる
古い絵図で平野郷の姿がわかる

まず目についたのが、お寺の横にある平野郷の歴史案内です。さっき歩いてきた環濠の町の全体像を、絵図で一目で追うことができます。神社とお寺を続けて回るなら、先にこれを見ておくと歩き方が変わるはずです。

「のぞみはないが ひかりはある」

さて、全興寺に入っていきます。事前知識はあまり入れずに来たのですが、ひとつだけ聞いていたのは「テーマパークみたいだよ」ということ。

最初に目に飛び込んできたのが、この掲示でした。

板塀の掲示「のぞみはないが ひかりはある」
板塀の掲示「のぞみはないが ひかりはある」

のぞみはないが ひかりはある

人生で希望(のぞみ)を失うような状況にあっても、照らしてくれる光は常にある——私はそう受け取りました。よい言葉です。どんな状況であっても、「ひかり」はある。

塀に掛かる、不思議な雰囲気の絵
塀に掛かる、不思議な雰囲気の絵

これも特徴的な絵です。何だか普通とは違う雰囲気を感じます。この絵は何だろう……(意味を聞きそびれてしまいました)。

地獄堂へ — 通行手形は百円

境内の案内板
境内の案内板
地獄堂の入口
地獄堂の入口

境内に入ると、目に入ったのが「地獄」の文字。

なんだこれは……なんか凄いぞ、これは……。

どう巡ったらよいか分からないので、受付の方に話を聞いてみることにしました。すると、ここは「地獄と極楽を巡る」お寺で、通行手形を求めれば最初から順に回れるとのこと。

地獄通行手形。おひとり百円(5歳以下無料)
地獄通行手形。おひとり百円(5歳以下無料)

その名も「地獄通行手形」。おひとり百円(5歳以下無料)です。

地獄堂の入口でこの手形のQRコードを読ませて扉の前に立つと、扉が開く仕掛けになっています。

極楽度・地獄度チェック
極楽度・地獄度チェック

扉の前には、Q&Aを選んでいく「極楽度・地獄度チェック」の看板もあります。人間にとって大切なことは何かを分からせるための問いかけ。こういう遊び心が随所にあります。

閻魔さまの前で

居並ぶ十王の像
居並ぶ十王の像
赤鬼が間近に迫る
赤鬼が間近に迫る

入ると、恐ろしい形相の閻魔大王と鬼が待っています。これは怖い。子どもは泣いてしまうのではないでしょうか。

堂内に映像が流れる
堂内に映像が流れる

そして映像が流れます。悪いことをすると地獄に行くぞ——子どもたちへの教育も兼ねているわけです。

地獄から、ほとけのくにへ

閻魔さまを後にすると、ここからは極楽を巡ります。

お堂の中へ
お堂の中へ
お地蔵さまの前を通って
お地蔵さまの前を通って
露地の小道を進む
露地の小道を進む
車輪を回しながら祈ると案内のある、参道脇のお参り処
車輪を回しながら祈ると案内のある、参道脇のお参り処
壁の丸窓の向こうに
壁の丸窓の向こうに

途中には「賽の河原」があり、石を積むことができます。私もやってみました。

賽の河原の積み石
賽の河原の積み石
体験コースの案内図
体験コースの案内図

コースの全体はこんな感じです。本堂のご本尊へのごあいさつから始まり、地獄堂、地獄の釜の音が聴こえる石、賽の河原の石積み、仏さまと赤い糸で縁結び、ほとけのくにでの瞑想——と続きます。

現地では「一部有料の場所があるのかな」と確認しそびれてしまったのですが、帰ってから写真を見返すと、コース図の中に「プチ写経・写仏(寺務所にて受付・各500円)」とありました。基本のコースは通行手形だけで巡れて、写経・写仏をしたい場合は別途、という形のようです。

地獄ミクジィで「凶」

みやげ処の店先
みやげ処の店先

最後に「みやげ」のある場所で、面白いおみくじを見つけたので引いてみました。

手に取った地獄ミクジィ
手に取った地獄ミクジィ

その名も「エンマ大王の地獄ミクジィ」。別途100円です。

開いてみると「凶」
開いてみると「凶」

受付の方いわく、凶から下しか入っていないのだそう。私が引いたのは「凶」——つまり、この中ではいちばん軽い。受付の方から「中途半端ですね(笑)」と、見事に大阪らしいツッコミをもらいました。

ちなみにおみくじの中身は、自己中心的な考えに陥っていませんか、と省みる言葉。地獄で引くおみくじが、ちゃんと説法になっています。

縁結びや子ども向けのおみくじも並ぶ
縁結びや子ども向けのおみくじも並ぶ

このほかにも、子ども向けのおみくじなどが並び、昭和20〜30年代の駄菓子屋を再現したという「小さな駄菓子屋さん博物館」もあります。

本堂に手を合わせて

全興寺の本堂
全興寺の本堂

地獄めぐりから始まり、非常にバラエティ豊かなお寺です。「大阪のおもろい寺」「寺のディズニーランド」と紹介されることもあるようですが、行ってみると、その言葉どおりの場所でした。

でも歩き終えてみると、これは「悪いことをしてはいけないよ」という、子どもたちへの教えの形なのだと思います。地獄の怖さも、賽の河原の石積みも、閻魔さまのおみくじの説法も、ぜんぶ同じ方向を向いている。面白いだけではなく、大切なことも教えてくれるお寺でした。

夕方にはもう一社、前から行ってみたかった神社に寄りました。その話は次の記事で書きます。

参考・出典

あなたの住所には、どんな福が宿っているでしょうか。

あなたの住所の福の気配を測る →

本サイトは寺社・御神木等の由緒と信仰を根拠ラベル付きで紹介するものであり、ご利益・効果を保証するものではありません。 参拝の際はマナーを守り、各社寺の定めに従ってください。誤りのご指摘・削除依頼は運営までご連絡ください。